両親からの挨拶(平成28年3月14日)

この度は私たちの娘である環(たまき)を救う為にたくさんの方にご尽力を賜り、
誠にありがとうございます。
特に貴重な時間を割いて「たまきちゃんを救う会」を結成してくださった
大学の友人を中心とした有志の皆様に心から感謝を申し上げます。

彼女が生まれた日のことを今でも鮮明に憶えています。
2013年11月12日、初雪が舞い降りた札幌に双子の姉妹の妹としてこの世に生を受けました。
姉は菫(すみれ)といいました。
妹の環は首にヘソの尾が絡んだ窒息状態で生まれてきました。
ICU、GCU管理を経て2014年2月には退院することができました。

しかし、2014年5月下旬頃から長女菫の様子がおかしくなり、
常に汗ばみ、手足は冷たく、嘔吐を繰り返すようになりました。
何度も何度も病院に通いましたが、その都度風邪の症状ですので様子をみてくださいと言われ、
最後に通院した5日後の2014年6月30日に長女菫は突然天国へ行ってしまいました。
急性心不全でした。

悲しみに浸る暇もなく、
翌日環の血液検査を行ったところ心臓のストレスを表すBNPが異常値であることが判明し、
詳細検査を進めていくにつれ「拡張型心筋症」と診断されました。
「拡張型心筋症」とはポンプ機能である心臓の筋肉の収縮力が弱く
心臓が拡大してポンプ機能が破綻してしまうという難病です。
菫の心臓も病理解剖へ提供し詳細な検査を行なっていますが、
未だに急性心不全の原因はわかっておりません。
おそらく、拡張型心筋症であると思われます。

北海道大学医学部附属病院にて内科的治療を継続しておりましたが、
「アーチスト」という薬を投薬するにあたり先生より判断を迷っている旨説明を受けました。
この薬は心臓を休める薬ではある一方で、一時的に心臓が悪くなる薬でもあるのです。
最悪の状態になった際には北海道大学医学部附属病院では打つ手がないと言われ、
大阪大学医学部附属病院を紹介してもらい、転院を決めました。
菫の時のような悔しい思いはしたくなかったので、今この子にできる最善のことを全てしたいという思いからでした。

2014年9月から大阪へ転院し、幸いにも薬が効き環は順調な成長ぶりを見せてくれました。
「拡張型心筋症」は最終的には移植以外に助かる方法はないと説明をうけておりましたが、
このまま内科的治療にて外来管理ができると信じておりました。

そんな淡い期待は短期間で消え去りました。
2015年8月に喘息が引き金になり、
環は自発呼吸がままならない状態に陥りました。
ICUにて人工呼吸器を装着しなんとか一命をとりとめました。
しかしこの時に彼女の心臓の機能はさらに低下してしまったのです。
それから間もない2015年10月中旬に小児用補助人工心臓を装着しなければ明日生きられない状態にまで陥り、
無事装着いたしました。
しかし1ヶ月後の11月には心臓のリズムがバラバラになる「完全房室ブロック」という状態になり、
再度開胸手術にてペースメーカーを装着しました。
これであとは体力をつけていこうとした矢先、先月末に心臓カテーテル検査の結果、
右心不全の進行が顕著であることが判明しました。
現在は補助人工心臓の圧を調整することで、多少の負担は取れたものの、
まだ油断できない状況です。
補助人工心臓を装着することにより、血液の塊である「血栓」ができやすくなります。
私たちの体内に流れる血液は人工物に接触すると固まる性質があります。
今後は血栓が原因で起こる脳梗塞などに気をつけなければなりません。
そのために「ワーファリン」という血液をサラサラにする薬を飲んでいますが、
この管理も非常に難しく、脳出血等のリスクと隣り合わせなのです。

いよいよ心臓移植に向き合うしか環の命を救う方法はなくなりました。
しかし心臓移植に関しては、2010年に臓器移植法の法改正が行われ小児への移植可能になったものの、
6歳未満への心臓移植は5年間で3例(2016年1月末)しかなく、
日本での移植はほとんど絶望的であるというのが現状です。

今回、先生のご尽力によりアメリカのシアトル小児病院にて受け入れをしていただける運びとなりました。
しかしながら、海外渡航移植は莫大な費用がかかるため我々家族だけではとてもまかないきれず、
全国の皆様にお願いをして助けていただく他ありません。

菫が命がけで病気を教えてくれ、何度も小さな体で命の危機を乗り越え、
生きたいと声を上げている環の命を諦めるわけにはいきません。
大変勝手なお願いであることは重々承知しておりますが、どうか生きるチャンスを与えてください。
どうか皆様の温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

平成28年3月14日
青山 竜馬・夏子

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